昨日のニュースで”イートイン脱税”というワードが話題になっていました。
ニュースでは「客側の脱税」として捉えられていますが、本当の問題はこれが「店側の脱税」として判断されかねないことだと僕は思っています。
今回はそのことについてお話しします。
イートイン脱税とは
持ち帰りと店内飲食、それぞれの商品を提供する飲食店では、持ち帰り用として購入したものを店内で飲食することで2%分の消費税を免れる、いわゆる “イートイン脱税” への対応を迫られています。
つまりレジでは「持ち帰りで」といいながら、気が変わったからという理由で店内飲食をすることで、2%の消費税支払いを逃れようとする行為のことを”イートイン脱税”と定義しています。
これは”脱税”ではなく”節税”
ただし財務省のホームページにはこのように書かれています。
「持ち帰り」(テイクアウト)だけでなく、テーブルやイスなど飲食に用いられる設備があり、飲食(イートイン)もできる小売店(スーパーマーケットやコンビニエンスストアなど)での飲食料品の購入の場面では、売り手(小売店側)は、販売の時点で適用税率を判断するため、お客様に「イートインなのか」「テイクアウトなのか」を確認することとなります。
税率の判断をするのは「販売の時点」であり、そのあとの客の行動について強制するようなルールはありません。
つまりレジ前で「持ち帰りで」と言ったとしても、気が変わって店内飲食することになんら違法性は無いのです。
確かにモラルの問題ではありますが、この件は”イートイン脱税”ではなく”イートイン節税”と呼ぶのがふさわしいのではないでしょうか。
心配なのは店側が”脱税”と判断されかねないこと
税率の判断を「販売の時点」で良いとするのは、店側の負担を考えてのことでもあります。
購入後の客の行動まで管理するのは大変ですからね。
ですが、やはり店側はそのような”イートイン節税”をする客を注意しなくてはならないジレンマを抱えています。
それは「店側が”脱税”判定されてしまうのではないか」という懸念が残っているからです。
消費税は、「売上に含まれる消費税」から「仕入で支払った消費税」を引いた分を国へ納めます。
「売上に含まれる消費税」ー「仕入で支払った消費税」=「納税する消費税」
売上・仕入共に消費税10%だとして、税抜100円で仕入たものを200円で売り上げた場合、このような式になります。
20円 ー 10円 = 10円を国へ納める
もし「持ち帰りで」といった場合、売上時の税率が8%になるのでこのような式になります。
16円 ー 10円 = 6円を国へ納める
つまり”イートイン節税”で支払いが減るのは客だけでなく、店側も納める税金が少なくなるということです。
この状況、客としては「安く食べれてラッキー」で済みますが、店側は「イートインの客が多いのに納める消費税が少ない」という状況証拠によって、税務署から”脱税”判定されかねない不安があります。
ちなみに財務省のホームページにはこのような注意書きがあります。
意思確認の方法は、例えば、「店員さんが口頭で直接確認する」、「掲示等に従いお客様から申し出を求める」、といったように、売り手の営業実態に応じ様々な方法で行われます。
でもこれっていくらでも誤魔化しようがありますよね。
本当に「販売の時点」で確認するだけで大丈夫なの?
「イートインの客多いやんけ」って”脱税”判定されないの?
そういう心配がありますよね。
この辺りルールが曖昧なままスタートしていて、そのグレーな部分が店任せになってしまっている状況です。
そして店が管理をしなければならないということは、その管理コストが余計にかかるということでもあります。
社会全体でみたときに、はたして本当に軽減税率は得なのか?
これがこの問題の本質なのではないかと、僕は思っているのです。